介護職員が知っておきたい社会福祉と福祉の仕事

生活保護の真実

日本国内における社会福祉についてルーツをさかのぼっていくと、相互扶助というしくみにその源流を見ることができます。
縄文時代や弥生時代には狩猟や採集が中心だった文化も、大陸から農耕技術が伝わってきてから集落、村といったような地域の共同体が成立するようになっていきました。

 

そのような中で日々を過ごすにあたり、何かしらの問題が生じることは誰にでもあります。
そこで困ったことがあればお互い様という精神で、お互いに助け合って生活していく相互扶助が行動の指針となっていました。

 

そういった習慣をもとに自然発生したものが「結」(ゆい)、「講」(こう)」といったものです。
「結」は農村を中心にして広まったものであり、ちょうど同じだけの労働力をお互いに提供し合うという共同労働です。

 

春先には田植え、秋になれば農作物の収穫などを一緒に行うことで、お互いの負担を減らすことができるというわけです。
一方の「講」はより経済的な性質が強いものであり、困っている人がいれば同じ集団に属している人たちが穀物やお金を出し合って助けるというものです。

 

ここで利害関係が発生するというわけでもなく、あくまで助け合いのしくみだったのです。
ですがこういった相互扶助も水害、地震、大火事、飢饉といったように大きな災害があると機能も及ばず、より大きなシステムでの援助が求められることになりました。

 

そういったことから、生活保護というものは生まれました。
ただ、本来であると困っている人を助けるべき制度であるものが、最近のニュースなどでは不正受給があったといったことばかりが話題になっています。

 

そのようなことがあるためか、生活保護を受けている人については自立するための努力をしていない、がんばりが足りないというようにマイナスのイメージが持たれているところもあるのです。
これは正しい認識ではなく、実際に生活保護を受けている世帯で受給が開始された理由については世帯主のケガや病気によるものがもっとも多く、次いで勤労による収入が減少したこととなっています。

 

また人は年齢を重ねるにつれて、若いうちと変わらず元気に働き続けるということはできなくなっていきます。
それだけでなく病気をすることも多くなりますし、介護が必要とされる可能性も高まっていきます。

 

こういった人たちは社会のためにも長く貢献してきたわけですから、介護や援助をすることも家族だけが負うべきものではなく社会、国に求められるところがあるのです。
生活保護の真実は、そういったところにあるのです。

 

2014年には高齢者人口の割合が全人口の25%に達し、今後さらに重要なものとなっていくことも想像に難くありません。
人々が生活保護を受けなければならないほどに困窮する理由が利己的なものでないことは、集計されている統計のデータなどを見ても明らかです。

 

相互扶助は人々の善意にもとづく自然発生的なものでしたが、困窮した人たちへの援助は継続的なものとして、制度というかたちで支えられていることが求められます。