介護職員が知っておきたい社会福祉と福祉の仕事

社会福祉から地域福祉へ

高度経済成長が落ち着いた頃から、日本では少子高齢化の傾向が強まってきました。
それと同時に、太平洋戦争後間もなくから形作られた社会福祉六法体制のもとで中心になっていた金銭面の給付だけでは事足りないニーズが増してくることになります。

 

たとえば人口がピークを過ぎて減少へ転じたことは、それまで当たり前だった隣近所を含めての子育てなどを難しくすることにもつながっています。
社会的なシステムとして子育てをサポートするサービスも必要とされ、それは必ずしも経済的に困窮しているからというだけの理由ではありません。

 

高度成長期の頃に象徴的だった「仕事でがんばるお父さん」に家庭での役割がより求められるようになり、女性はより積極的に社会へ進出しようとするようになる中で、子育てもお母さんに大きく依存するものであってはいけなくなりました。
もちろん第一の責任は両親へ帰するものであるのですが、必ずしも金銭面の理由だけで働くわけではないお母さんも子育てに関する社会全体のサポートがなければ、思うように働くことができません。

 

高齢者に関することも同様であり、平均寿命が延びるにつれて当然に高齢者の数は増え、介護を必要とする人の数も多くなっています。
こちらも金銭的なサポートがあれば解決するという問題ではなく人的、社会的な助けが必要とされるものです。

 

社会福祉という枠組みで求められるものは、より幅広いものになりました。
社会福祉六法体制の前提である経済的な弱者に限らず、誰もが利用することのできるものでなければならなくなってきているのです。

 

これは医療、教育といったように全国民が等しく受けるサービスとして、社会福祉も同列に挙げられるべきものになっていると言い換えることもできます。
このような背景を受けて1970年代になってから当時の厚生省は保育所、特別養護老人ホームなどを社会福祉施設として整備し始めました。

 

とはいってもすぐに全国的な社会福祉の体制が整うというところまでは叶わず、遠方の施設に肉親が入所しなければならないという事例も少なからずあったのです。
社会によるサポートが必要でありながら、現実には家族が地域から離れなければならないという事態は、本当の意味で問題を解決することにつながりません。

 

それは不自然なことであり、当然ながらサービスとしても是正される必要があるべきものです。
平成の世になり1990年頃になると、社会福祉施設によって画一的に提供されるサービスにも疑問が呈されるようになります。

 

あくまでもかつてのような地域による子育て、地域による高齢者の身守りといった姿が理想的なものであり、普段から親しんでいる地域や空間で過ごすことがいちばんであることは当然です。
拠点は地域であり、親しい家族や地域の人たちとの時間を持ちながら福祉、医療、保健といったそれぞれのサービスも活用するというかたちで、地域福祉の重要性が増すことになりました。