介護職員が知っておきたい社会福祉と福祉の仕事

地域福祉の考え方

日本における社会福祉の枠組みは戦後間もなくから、社会福祉六法をベースとして整えられてきました。
そこから社会福祉がサービスとして求められるようになってきて、1970年代からは社会福祉施設の整備が進められます。

 

さらに地域での福祉ということが重視されるようになってきたことで、1990年前後には地域福祉の実現へ向けた取り組みが準備され始めました。
当時の厚生省は1989年、さらなる高齢化社会が到来することに先立って、「高齢者保健福祉推進10か年戦略」を制定しました。

 

これは「ゴールドプラン」という通称もつけられ、在宅福祉サービスを推進させるべくホームヘルパーを養成すること、特別養護老人ホームやデイサービスなどといった施設を整備することなどが中心となりました。
ただ、高齢化のスピードはゴールドプラン策定時の想定をも上回るものだったことで、1994年には「高齢者保健福祉5か年計画」として「新ゴールドプラン」が定められ、1999年には「ゴールドプラン21」へと引き継がれています。

 

一方、法律の面では1990年に老人福祉法等の一部を改正する法律が定められ老人福祉法、身体障害者福祉法、現在の知的障害者福祉法である精神薄弱者福祉法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、社会福祉事業法、老人保健法、社会福祉・医療事業団法という社会福祉関係八法はそれぞれ改正されました。
ここで老人保健福祉計画が法定化されたことによって、それぞれの地方自治体が在宅福祉サービスを開発、整備することとなったのです。

 

それまでは地域で社会福祉サービスを完結させることができなかったことから、地域福祉では在宅福祉サービスが重要視されています。
また、それまでは社会福祉六法のもとで児童や高齢者など、それぞれ対象となる利用者に合わせた福祉制度が設けられていました。

 

このように別個だったサービスも連携させることで、個人個人の要望や必要性にもとづいて選択、利用することができるものになるのです。
いわゆる「縦割り」という考え方が、ノーマライゼーション思想に転換されたということにもなります。

 

ノーマライゼーション思想自体は1950年代にはすでに存在していて、この当時は知的障害児や知的障害者も健常者と変わらない暮らしをすることのできる社会が正常なものであるとされていました。
地域福祉についての考え方では対象を限定せず、すべての社会福祉サービスに当てはまるものであるとされています。

 

当然、各地にはそれぞれの地域性というものがありますから、国が地域福祉のサービスを一括して管理するということは不可能です。
そのベースとなるものは市町村という自治体であり、それぞれの自治体で社会福祉に関する考え方やアイデア、具体的な計画についての発想力が求められるところです。

 

つまり個別性が現れる部分でもあり、サービスの質には地域ごとで大きな開きが生じるという可能性も考えられます。